密かに好きやなぁって思ってる人の星、読んでみるんってええでえ。
例の丸いホロスコープ -その人が生まれた時の星の位置、太陽やら月やらの位置を示したやつな- をじっと見つめて、ああでもない、こうでもないってするんや。
そんでもって、意中の人について、一人の時のあの人は、こんなんちゃうかなぁ、とか。
広く知られてるイメージとは、ちょいとちゃうかも、とか。
好みの女性のタイプはどんなんで、浮気っぽい方やろか、とか。
いろいろ想像して、にこにこ(にやにや)してるんや。
ほんのわずかな手がかりから、好きな人のことを知ろうとする時のどきどきは、特別やな。
とはいうものの、私が一番長い間、つきあってるんは、自分のホロスコープや。
初めて作ったんは、小学生の頃やった。
まだ、パソコンでホロスコープが計算できるようになるだいぶ前の話や。
コンパスで丸を書いて、分厚い本で、星の位置を確認して、書き入れていくんや。
正直その時は、ふ~んって感じやった。
そやけど、思春期に差し掛かり多感な時期になって、自分のホロスコープを改めて見て、あぁ、私ってそうかも知れへんって思ったなぁ。
それから、社会に出て、これまでとは違う人間関係にもまれるようになって、また、自分のホロスコープを見て、あれ、やっぱり、これ、私やって思ったんや。
そんでもって、今の私は、思春期の私とも、社会に出た頃の私とも、違うはずやのに、今見ても、ホロスコープの中には、やっぱり私がいるんや。
まるで、鏡みたいに。
その時々の私が、そこに映ってるんや。生まれた時の星の位置は、変わるはずもないのにな。
そやから、時には、占い師さんに、星を読んでもらうんもええと思うで。
そこには、変わらない、あなたの本質が映ってるはずやからな。
自分の運勢や運命を教えてもらうとか、そんなんやのうて、むしろ、センスのええ友人に、メイクや服装のアドバイスをもらうんと同じような気持ちで。
お化粧もおしゃれも、ウソの自分を作り出すもんやないやろ。
自分のもってるええとこを目立たして、ついでに欠点はカバーして、自分をいかに演出するかってことやろ。
ほな、もう一つの鏡を使って、自分の特徴を教えてもらうんって、わるないで。
これまで使ったことのない色の口紅が、新しいあなたを見つけるきっかけになるかも知れへんのなら、占いで聞いたほんの一言のアドバイスが、新しいあなたを見つけるきっかけになることも、あるかも知れへんからな。
えっ、おばちゃんの持ってる鏡って、曇ってたりせえへんのかって・・・いや、まぁ、それは、別の問題な。
聖杯8って、簡単やけど、難しいカード・・・。
Rider Waite Tarot では、夜、積み重ねられた聖杯に背を向けて、道を急ぐ赤い服の人が描かれてるけど、そのまんまの意味や。
彼は、ものすご丁寧に、心を込めて、この聖杯を積み重ねてきたんや。なのに、巡り巡って、この聖杯と決別せなあかん時がやってきてしもたんや。
そやから、もう、積み重ねてきた聖杯の方、振り返るわけにはいかへん。
振り返ってしもたら、きっと、そこから一歩も動かれへんようになってまうから。
聖杯との決別は、この聖杯をいとおしんできた自分自身との決別。
断ち切れないもんを断ち切るには、ひたすら早足で、ここではないどこかを目指すしかないんや。
今は、夜明け前で、道は、まだ暗く、さみしい。
そやけど、やがて、日が昇って、あたりの景色も変わってくるやろ。・・・。
でっ、難しいんは、聖杯は何を意味してて、これからどこを目指すんやってことや。
このカードは、恋人との別れも、結婚の決意も、意味することがあるちゅう珍妙なカードやさかいな。
恋人との別れの時は、背を向けた聖杯は付き合ってきた恋人・・・目指す先は、その人が追いかける理想、あるいは、別の恋人なんかも。
結婚の決意の時は、背を向けた聖杯は楽しく気楽な独身生活・・・目指す先は、家庭を持って、新しい基盤を持つことなんかも。
そのどっちやって問われたら、周りのカードのささやきや相談者さんの話から、答えを探すしかないんやろな。
そやけど、もっと難しいんは、赤い服を着た人が、相談者さんやのうて、相談者さんの恋人やパートナーの時や。
どんなに大事に思いを積み重ねてきても、これ以上は、続けられへん。お互い、違う道を行った方がいい。
そんな局面もあることは、よう、わかってはいるんやけど。
彼が、振り向かずに、彼の道を急ぐなら、自分も、振り向かずに、自分の道を歩むしか、なんやけど。
でもな、こうやって宣告されると、やっぱりつらいな。・・・。
それと、もう一個、困るのは自分のことを占って、このカードにお目にかかった時や。
いや、だって、未来を開くために、どんな小さいことでもええから、ヒントがほしいってタロットをしたのに
今、大事にしてる何かを捨てて、新たなもんを目指さなあかんって言われても、
何かを捨てて、どこを目指したらええんか、わからへんから、ヒントがほしかったのに
「そんなん、言わんといてや」って叫びとうなるで。
聖杯8は、ほんまやっかいなカードや。
説教したい気持ちはわかるで。
そやけど、それで何とかなるんやったら、とっくに何とかなってるって。
自分の怒りのはけ口として、人を責める言葉を使ったら、あかんで。