金貨5

金貨5は衰運のカード。

凍えるような冬の夜、暖まる場所もなく、さまよい歩き続ける二人。どうにもならない状況に押しつぶされて、心も折れてしまいそうや。

足元に積もる雪が、白く汚れなく描かれてるんは、彼らに咎があったわけやないからや。何か悪いことをしたの報いで悲惨な状況になったわけやないってことや。剣9の人が真っ白な服を着てるのと同じでな。

背景には、暖かな光を放つ5枚の金貨。そやけど、この二人には、その光は見えてへんようや。

悲惨な状況に落ち込んだ時、どこかにあんたの助けになろうとする人がいるって信じられるかい?

この世には、不公平なことや不条理なことが山のようにある。悪気のある人もおる。そやけど、それと同じように、悲惨な状況に落ち込んだ人を助けようと思う人もいるんやで。

大切な人が最悪のことになってしまって残された者や悲惨な状況から回復した誰かが、こんな思いをするんは私で最後にしたいって気持ちから、行動を起こすことは、今の世にもあることや。

そういうのんがきっかけで、新たな福祉制度ができたりもするんや。

それにしても、福祉制度の申込用紙は、なんであんなに難しいんや。せっぱつまった時に、あんなもんにすらすら書き込めるような人、おるんかいな。まぁ、最近は役所の窓口の人も、やさしゅうて、ゆっくり丁寧に書き方を教えてくれはったりするけどな・・・てな、話は置いといて。

仲間外れやいじめにあった人のための相談電話を開設したり、昔、自分がいじめられたことを告白して本を出したりする人が、痛いほど考えるんは、今、苦しんでいる人に、どうやったら私たちの声が届くんやろってことや。

ほんまにぎりぎりの時は、狭い世界に入り込んでしもてて、何も見えへん、何も聞こえへんってなるからなぁ。

ブラック企業で長時間労働の上、パワハラにあったら、もう、心が正常には働かなんようになってるから、逃げることもでけへんって聞いた時は、心底、ぞっとしたで。そやけど、そういうもんかも知れへん・・・。

このカードと縁があった時は、深刻度はいろいろあったとしても、あれこれあって、追い込まれて心が弱ってるんや。こんな時は、自分一人で抱え込まん方がええ。

どうしようもなく悲惨な状況でも、どうか、最後の力を振り絞って、どこかにいるあなたを助けようとする人のそばを目指してな。まずは、信頼できる人のとこで、愚痴まじりに話してみてもええ。お役所で、福祉制度の申込用紙を渡してくれて、書き方を教えてくれる人のところでもええ。助けてって言えること。それは、ものすご、大事なことや。

衰運の極地であっても、金貨5の暖かい光が降り注いでいることをどうか忘れんといてな。

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