若い頃から、スポーツをする方は、かいもくあかんかったけど、見るんは、大好きやった。
オリンピックが近づいてくると、わくわくするで。
そやけど、テレビで、しょっちゅう、金メダル候補ですとか、メダル○個が目標ですとか言ってるん聞くと、テレビがみんなサンテレビになってもうたんか、と思うで。
関西圏と縁の薄い人のために、念のために言うとくと、サンテレビ(ウィキペディアのサンテレビジョンのページ)って、阪神間で見れるUHF放送局や。ずっと昔から、阪神タイガースの試合を試合開始から終了まで完全生中継してるんや。
そんで、毎年、春になると、今年の先発ローテーションは、K投手、T投手、A投手・・・で、K投手が15勝して、T投手が12勝して、中継ぎがつないで20勝はして・・・とか言い出すんや。
私ら、「おいおい、その勝ち星足したら、試合数よりおおいんとちゃうん」って、笑いながら、見るんや。
もちろん、シーズンが始まると、そんなんは大概、取らぬ狸の皮算用で、あのころの私には季節の風物詩みたいなもんやった。
なんせ、私が一番、一生懸命、阪神を応援してたんは、昭和40年代、50年代やったろうからな。
知ってのとおり、昭和39年を最後に、阪神は、さっぱり優勝でけへんで、「ハレー彗星は、76年経ったら、必ずやってくるけど、阪神は76年経っても、優勝でけへんかもしれへん。」とか言うてたもんや。
「こらぁ、タブチ、なにしとるんや」とか言うてるくせに、甲子園に行ったら、三拍子で、「た・ぶ・ち」コールしてた。まだ、ジェット風船どころか、コンバットマーチもない頃や。
11連勝した後、8連敗した阪神に、「ほんまにもう!」とか言いながら、やっぱり、テレビの中継に夢中やった。
9月になって、最下位が決まった阪神と、優勝を狙ってる巨人の三連戦があった時、アナウンサーが「ここで負けても阪神は痛くもかゆくもないですから、意地を見せてほしいです」とか言ってたんやけど、ほんまに、巨人を三タテしてしもて、あほみたいに、はしゃいだもんや。
そやからな、オリンピックで世界に挑んだ選手が、夢を果たせず終わった時、マスコミのその選手に対する言葉を聞いて、「なにいうてるねん!」ってなることが、少なからずあるんや。
あの頃のサンテレビでも、そんな恥知らずなこと、言わへんかったで、あんたら、ひょっとしたら、勝ち馬に乗りたいだけとちゃうんってな。
タロットカードにも、最高・完成・絶頂を表す「世界」というカードがあるやろ。そんで、カードは逆位置になると、その意味するところが裏目に出てる状態を示すことが多くて、「世界」の場合は、完成の一歩手前で進めないって意味やって、言われたりするやろ。
でもな、私、世界の逆位置のこと、結構、好きなんや。
最高の位置に立つ者だけが、すばらしい・・・そんなはずないやろ。
最高の場所へ行きたくて、全力を尽くして努力し、挑み、それでも、そこに届かない、それが、どれだけすごいことなのか・・・。
最高へ至る路が、そこにあって、最高の場所が、近くに見えるのに、それ以上は進めないと知る時・・・それは、なんて、残酷なことなのか・・・。
私は、最高の場所の本当の高さを直接知ることはないけど、その高さを身をもって知った人の目には、いったい、何が映ってるんやろ。
その人の心の中には、きっと、宝物が宿るはず。そして、それは、新しい路を歩く時、他の人をバックアップする側に立つ時、きっと、力をくれるはず。
・・・思えば、あの頃の阪神は、私にいろんなことを教えてくれた。
どんなに望んでも、かなわないことだって、あること
自分のことだって、思うにまかせないのに、他人さんのことは、自分の思いどうりには、まず、いかないこと
他人さんのことで、望みがかなわなかったからって、不平・不満をぶちまけるのは、とってもかっこ悪いってこと
望みがかなわなくても、ちっとも、おしまいじゃないこと
ちっとも、無意味なんかじゃないこと
それとな、どのオリンピックでも、ワールドカップでも、応援においては、あの頃の阪神ファンには、まだまだ及ばへんで。
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