黒いカード~剣9

愛用のRider Waite Tarotの背景色は、それ自体、意味があるって言われてるんや。
背景のを見たら、そのカードがどんな感じか、なんとなくわかるってことや。

黄色は黄金で、輝かしいもん、吉兆とか、
薄めの青色は高い精神性、俗を超えたとこにあるもんとか・・・。

そうすると、色紙みたいなカードをたくさん作って占いをすることもできそうやなぁ。
から受けるイメージって、感覚に直接響くから、眼の前に広がる色のトーンからいろんなメッセージを受けとったり、それを共有したり・・・。

青系統のグラデーションで並んだらこんな意味、とか、パステルトーンで並んだらこんな意味とか・・・
真っ白なカードばかり並んだら、未来は真っ白やで、とか(おいおい)。
見た目もきれいで、なかなか素敵な占いになるんとちゃうかな。

日本人は、昔から十二単の色あわせに心を躍らせたりしてきたんやから、色のトーンへの感覚は、抜群やろしな。

そやけど、全ての色を混ぜたら、どないなるんか。

答えは簡単、や。
全ての色が終わるところ、全てを塗りつぶしてしまうもん。

タロットカードでの黒のイメージ。
闇、先が見えないこと、抜け出せないもの、抵抗できないほど圧倒的なもん、絶望、悲嘆、苦悩。

Rider Waite Tarotでは、背景色が黒のカードは、たったの4枚。
悪魔、塔、剣9、剣10そやそや、死神や吊るし人のカードの背景は、やないんやで。

でな、剣9のカードが他の黒いカードとちょいと違うとこは、ほとんどの人がこのカードを見た時、「こんな時もあったなぁ」って感じることや。
さすがに、剣10のカードを見て、「私、昔、こんな目にあったことがある」って言う人は、ほとんどおらへんやろ。まぁ、いてはったら、「どんなドラマティックな人生、送ってきたんや!」ってこっちゃ。

剣9のまっくらな部屋の中、ベットで、たった一人、顔を覆っている人。
この人にいったい何が起きたんやろ。

失恋、挫折、経済的な行き詰まり、信じていた人からの裏切り、病気や老いの兆候を感じること、家族など大切な人の病気や死・・・。

今は真夜中やろけど、朝日がさしてきたら、この人はどうするんやろ。
そのままベットで、顔を覆ったままなんやろか。

意外に、きっちりと身支度を整えて、何事もなかったように部屋を出て行くんかもな。
外の世界で、快活に動き回り、誰かと笑いながらおしゃべりをして・・・。
そうして、一日を終えて、この部屋へ帰ってきた時、
この人は、再び、たった一人で顔を覆うんやろか。

剣9の部屋には、窓がなくて、闇に閉ざされてるやろ。
そやから、闇をはらって、自分の不安や悲しみの正体を見極めなさい、そのためには、窓を開けて、情報を集めたり、客観的に物を見るようにしなさいって暗示やって言われたりもするなぁ。

そやけど、必ずしも、そうやないんとちゃうやろか。
この人は、真っ白な服を身にまとってるやろ。まるで、闇の中から浮かび上がるように。
これは、この姿がうそ偽りのない、ほんまの自分の姿やからやないやろか。
そして、この人にとって、今、一番必要なのは、ただただ泣くこと・・・。
流す涙が少しずつ心の傷を癒してくれるかのように。

どんな穏やかな人生を送る人にも、剣9のカードのような時はやってくる。
誰の人生にもある、当たり前のものとして。何か悪いことをした報いとかそんなんやなく。

そやなぁ、占いで、剣9のカードに出会ったら、このカードは、あんたの代わりに泣いてくれてるのかも知れへんで。
普段は前を見ようとがんばってても、心の奥でずっと泣いてるあんたに、そっと寄り添うように。
そして、いつか、心の底から笑える時がやってくるように。

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